ジャック・マイヨール、海、死

d. 人文科学と芸術


The Days with Jacques – ジャック・マイヨールの海と夢
 故ジャック・マイヨールに密着したドキュメント。彼の素顔に迫っています。自分の人生観を熱くでも醒めてでもなくふつふつと語り、そして黙々とかつ優雅に水中を舞っていきます。水中では、3点セット(マスク、スノーケル、長めのフィン)とウェイトのみでいることを忘れさせるほど、当たり前のようにいます。当たり前のように深く潜っていきます。空気は肺のみに溜めているはずなんですが。
 彼にとって、スキンダイビングは日常であることをつくづく感じる描写。このドキュメンタリーが撮影された頃、年齢的にはもちろんすでに老人なのですが、水の中ではそれも感じさせません。
 自身はスキンダイビングはしませんが、最もシンプルで自由であり、同時に最も制約を受けるダイビングでもあり、多くの矛盾を抱えた不思議な方法だと思います。
余談:
 彼は首吊りによる孤独な死を選んだ。理由は孤高の人だったゆえの孤独、老いて自由が利かなくなる体、最近までの栄光と今のギャップ、それらによる鬱などが複雑に入り混じったのでしょう。
参考:
ジャック・マイヨール(20世紀異人伝)

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